博士と助手とサルーンソング
ブンメシ

・生観劇
地方公演演劇は高い!!
 と、思って、地元でなんかやってないかなー、と思ってネットで探していたら、見つけたのが「ブンメシ」さん。なんてったって、チケットが安かった!!学生さんで1500円!! オイオイ、地方公演チケット代分で、3、4回見に行けるお値段じゃないですか!
 なんか、地元の演劇をやっているサイトを見ると、あんまりサイトがしっかりしたものが無かったんですが、ブンメシさんは、見ての通りオスァレー(オシャレの一段階上の表現)でして。んで、チケットも、かわいいじゃないですか!! なんですか! このこだわりよう! オッスァレーィですよ!?
 そーいや、なんかずっと前、夕方のニュース番組で、なんか特集されていたのがあったけども。あれは、ここの一回公演ではないか? んー。ちょっと、興味あったんだよなぁ。
 よし、いくべ!
 と、勇気を出して、チケットを予約したのでありました。(その際、時間帯を間違えてしまい、後々変更をしていただいて、お世話になりました。あの時はありがとうございました!)

<会場>
 ドキドキしながら、「山小屋ギャラリー」に足を運ぶ。黄色いビルがその模様。
 おや。1階はお店。横に細い階段がありまして。もう行列が出来ています。二階は喫茶店。なんだかしらないけども、ホールだとかとは違ういつもの待ち状況に、ドキドキ感倍増。
 階段の踊り場で、チケット予約を当日受け渡しにしてもらっていたので、そこでカワイイチケットをゲット。(よくばり手袋でしたよ!!)
 中に入ると……オシャレな酒場の入り口みたいな仕様で。「え!? えぇ!?」と、本当に、酒場だと一瞬脳の配線が千切れたように、錯覚しました。その仕切られて作られた、凝った細い通りを通り抜けると。椅子とか、段とかがギッチリ並んでいて。で、驚くべきことに、舞台は、段差が無い。つまり地続きにありまして。まぁ、もともと「ギャラリー」としての空間だから、無いんでしょうけども、これがショックでした。客席と舞台の境界線が無いってのは、ある意味不安感がありますけども。なんだか、この空間にはピッタリで。
 舞台には、二つの酒場。客席から左には、ちょっと土臭いというか、イイカンジな古い色合いの酒場。右側は、なんんでしょう。現代風の、ステンレスとかみたいな酒場。そのこだわり様もまたすばらしい。
 良い席を求めて、何度もうろうろしました。客層は、基本的にこれまたオシャレィーな若者層。やっぱ、こういう、地元演劇に興味を持つ人って、こんな人が多いんだなーと。隣の人なんか、なんか、ちょっと関係者みたいなコトを言っていましたし。そんなオシャレ空間の中、一人浮いていたり。んでも、おばさまも来ていらして。しかも、周りも丁寧な対応で腰を気遣って席を選んであげたり。すごく「あぁー。いいなぁ」と思いました。地元が協力しているってあったけど、こーゆー暖かさがあるからなんだろうなぁ、と感心しました。



<はじまり>
 狭い空間ならでわの、むわっとした空気と、ホールにはない密集したドキドキ感が溢れる空間。そこに、ぼこん、ぼこん、という音とピアノのかわいらしい音が。すらりとしたオトコマエ(末武さん)がお酒を作り始めるじゃないですか。
 ぼこんぼこん、たららー(ピアノ)、カシャン(氷の音)。という、音のマッチ。氷の音がね、なんか音楽にあわせてるんですかね? すごく、背筋がゾクゾクしました。あれ、偶然だったら泣きますよ。感激して。(ぼこん、ぼこんという音。最初、ペットボトルを打ち鳴らしているかと思っていたら。ドラムでした。)
 そして、お酒を作りながらの末武さんの、ちょいと陶酔入った、独白から劇は開始したのでした。


<ストーリー>
 舞台は二つ。一人芝居×2で、他の登場人物は、お客さんの想像。という、変わった構成。
 酒場をやっていた母が失踪し、父が酒場カモン1号店を経営。その息子、太(末武太)はカモン2号店のバーテン。浮かれ気味のバーテンがいる2号店に、常連の博士がやってくる。父が最近、ハゲを気にし始めたこと。なにやら女装をしはじめたこと。恋人のマキにプロポーズをすること。そんなコトを話しながら、失踪した母が数年ぶりに帰ってくるらしいことも話す。
 一方、2号店。こちらには、その博士の助手(河村竜也)がくたくたにくたびれ、でも、挙動不審に現れる。実はその助手は、博士が最近完成させた薬を持ち出して逃げてきたのだ。

 博士のいつも持ち歩いているケースは仏壇。
 その仏壇の写真は……博士の奥さんであり……そして、バーテンの母でもあった。

 数年前、博士が薬を完成させた日、母は、いなくなった。

 何故、母は仏壇に……? 薬は? 誰が、殺した?
 何故、博士は、薬を再び作った? 誰を、殺す?


<好きな役>
●助手(河村竜也)
 バーテンよりも、助手が好きでした。挙動不審で、やることなすこと、すごくイッパイイッパイ。持ち運びできる仏壇の開発という、ナンセンスな開発しかさせてくれない。しかも、仏壇の見張りで、学会発表を見れなくさせている博士を憎んでいるのかと思いきや。大好きなんですもん。博士のコト。
 バーテンの父と、何故だか女装を一緒にすることになるんですけども。女装をしてからの助手は、吹っ切れてて。あの、挙動不審ぶりが消えてるんですよ。その姿もすごくカッコよくて。(頭に赤い花のっけてたけども)
 なんてったって、歌。すごい低音で迫力のある歌声なんですよ。かと思えば、歌の中盤にある、セリフ。女性のセリフなんですけども、すっごい色っぽく感じて。
もっさい男が、女装して、前より男らしくなって、女性の色っぽさがあるんですよ!? 矛盾しているかもしれませんけども、いやにピッタリでして。かっこよかったー。
なにより、結局は博士LOVEなことを叫ぶのが、かわいらしい。骨太な演技なのに、かわいいという。えぇ、私はギャップに弱いんです。

●博士
 役者いないじゃん。なんていわないで下さい。かわいいんです。博士は!
 理学的権威の博士なのに、アイデア商品ばっかり考えてて(しかもくだらない(笑))。折りたたみ傘は折りたためないし。どこの土地のどんな犬にも「ポチ」と呼ぶし。ハゲを気にしていたり。かわいいったらありゃいない!! おすぎ口調で表現するならば「んもぉ、たべちゃいたい!」とかですよ!
 バーテンが、博士のモノマネをちょっとするんですけども、その声とたたずまいにも惚れましたよ。かわいい。声が高い!
 あんな博士、うちの学科にいたらどんなに毎日が幸せだろうか。



<好きな演出>
●生演奏
 ピアノとドラムの生演奏。この二つの楽器なのに、かわいらしいテーマ曲から、恐ろしいほどの狂気が入った演奏までこなして。こんなにまで幅広いことを表現できるのにちょっとびっくりしました。
 しかも、驚くべきことに、ドラムが、実はセットのすぐ裏で、間近にあったこととか、ビックリしました。
 演劇で生演奏ってのははじめてでして。しかも、こんな小さな空間でまさかこんな体験ができるとは思いもよりませんでした。やっぱ、生の力ってすごい。

●雰囲気
 ホールだとかでなく、この空間という。なんか、説明しにくい、暖かさ。これが一番の魅力じゃないですかね? 狭いなかに凝縮された、こだわりと、人の暖かさ。そこにいるだけで、ニマニマと笑顔になりそうでした。



<見終わった後>
 挙動不審に、アンケートを渡し、手作りパンフを購入。しかも、そのやりとりの場が、舞台のど真ん中!すんごい、ギクシャクしながらのやりとりでした。一人浮いた客でしたからねー……。
そんなミッションクリアをして。その後、なにやら軽い催し物があるらしいですが、そんなものに参加できる度胸などなく、ホッとしてそそくさと階段を下りていくと。

 末武さんと河村さん(恐らく女装したままだったと思う)が階段降りたところにいて「ありがとうございました」(とか何かだったと思うそんな言葉)と、一礼!!!!

 えぇ!? ちょいと!! 不意打ちですよ!! ビックリしてなにも出てきませんでしたよ!!
 もぉ、ほっとした直後もあり、パニック度数が最高潮。変な中途半端なお辞儀をして、逃げてしまいました。逃げるように、とかじゃありません。逃げました。
 思えば、「ありがとうございました」とか「楽しかったです」とかって一言でも言えば良かったなぁ。と、今更ながらに後悔。
 楽しかったですよー!!(ここで叫んでもアカンやろ)