| MIDSUMMER CAROL 〜ガマ王子VSザリガニ魔人〜 ⇒G2プロデュース ・生観劇 |
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パルコ・リコモーション企画 後藤ひろひと作 G2演出 シリーズ 第一弾「人間風車」 第二弾「ダブリンの鐘つきカビ人間」 そして、第三弾「MIDSUMMER CAROL 〜ガマ王子VSザリガニ魔人〜」! つまり、「ダブリン〜」をTVで見てハマッたので、私はまだこのシリーズを生で見たことが無いのですね。 見に行かなければなりません。絶対に。 そんな気負いで挑みました。 <はじまり> いつもとは、なんだか客層が違います。親子連れとか。いつもより……ポップといいますか。緊張感が無いといいますか。 あぁ、そうか。年齢層がちょいと若くなってるんだ。やはり、伊藤英明&長谷川京子効果でしょうか。……芸能人はあんまり知らないので、どんな人かはしりませんがね。 右側に、涼しい朝の夏の臭いがしそうな、木々のセットがあるんですがね。最初、立体かと思ってたんですが、ちょっと透明感のある布系の素材ですかね。そんなものでできたセットでした。 そんな、騙しセットに、始まる前からG2さんの演出に惚れ惚れ。 BGMは、夜に聞こえるような、夏の虫の声。これまた、涼しげ。 なんだか、舞台の真ん中に、野暮ったい感じで部屋がどでんと。で、その部屋の後ろには、これまた凝った建物の背景が。 まさか、この部屋だけではあるまい。G2さんのことですから。くそぉ、G2さんめ、どんな仕掛けがあるんだ!! 右上の背景とか、なんか、怪しいなぁ。単なる背景じゃないぞ。多分。 初めてのG2舞台。 DVDで「ダブリンの鐘つきカビ人間」「人間風車」で、G2さんの舞台の美しさと仕掛けとかに、散々驚かされてますから。始まる前から、舞台の仕掛けにもドキドキさせられてしまいました。 お。暗転。 そして、優しい挿入歌が流れ始めて……はじまりました。
<ストーリー> 舞台は一室から。 部屋にある仏壇の処理に困っていた若者の元に、ある老人が訪ねてくる。そして、老人は、その仏壇の主について語りだす。 舞台は病院に移る。 「お前が私を知っているというだけでムカムカする」 それが口癖の、誰からも嫌われている大貫老人(木場勝己)。一代でのし上ったがゆえに、周りを拒絶し、入院患者仲間からも嫌われ、看護婦を困らせていた。 熱意溢れる消防士(消防車に轢かれた)、噂好きで善人な主婦(賠償金吊り上げ目的で入院延長)、なにやら秘密を抱えているヤクザ(銃に撃たれた)、かわいい子役ばかりしていたので成人してもかわいい演技しか出来なくなった役者くずれ(自殺未遂)、大貫をからかうことを日課にしている不思議な入院患者、社長夫人を夢見る看護婦、言葉遣いの悪い看護婦、子供のような医師。病院にはそんな面々がいた。 そんな入院生活を送っていると、少女パコ(加藤みづき)が、「ガマ王子VSザリガニ魔人」という不思議な絵本を持って、大貫の前に現れる。大貫の意地悪にめげず、なぜかパコは毎日大貫の傍にやってくる。 ある日大貫は、大切なライターを無くす。いつものように、周りのことを考えず、暴れるように探す大貫。そんな大貫の前に、パコがやってくる。パコと話す大貫。しかし、パコは大貫のことを今日はじめて会ったと言う。馬鹿にされていると憤慨し、タバコを吸い始める大貫。しかしライターが無いことに気づく。すると、パコが、「今朝起きると、ポケットの中にあったの」と、ライターを嬉しそうに差し出す。そう、大貫の探していたライターだった。 怒りに任せて、大貫はパコを殴る。 そこの入院患者らが出てきて、大貫を止める。 あとから大貫は聞いた。パコは、事故により記憶を一日しか保てない障害を持っていたのだ。大貫は罪悪感を感じる。 次の日、記憶がまた無くなったパコが頬にガーゼをつけ、大貫の隣で絵本を読み出す。罪悪感を拭うように、パコに話しかける大貫。痛くないだろうかと頬に触れる大貫。 するとパコは、不思議そうに、そして嬉しそうに言うのだった。 「大貫、昨日、私の頬にこうやって触った?」 誰の記憶にも残りたくなかった老人が、皮肉にも記憶が消えてしまう少女の脳の中に唯一残ったのだ。 そして大貫は、決意する。 やさしさが きらめきとなり つながって ひろがっていく おはなし <好きなトコロ> ●残る記憶に パコを殴った手だけが唯一彼女の記憶に残った。大貫はその後、一日中一人、病院の待合の椅子に座ったまま、動かない。日が暮れ、食事を持ってきても、動かない。 大貫老人の胸の内には、「何故」という言葉が、回っているんじゃないかと、私は思った。忘れるということだけでも、残酷で優しいというのに。よりにもよって、自分が暴力を振ったこの手を優しいものだとして覚えている。嬉しそうに、「触った」と覚えている。 何故、よりにもよって、殴ったこの手を、何故、そんなやさしい思い出として覚えているんだろう。ある意味、それは残酷だ。 消えているので、「許される」ということは一生無い。ただ、自分のうちにある罪悪感だけが、その少女の笑顔に照らされ、自覚し続けるしかない。 それでも、少女の笑みは救いになる。 殴った手を優しく包んで、「触った?」と、嬉しそうに言う少女の笑みが。 どうしたらいいんだろう。何故、自分なんだろう。なんでよりにもよって、殴ったこの手なのだろう。 そんなことを、ぐるぐると思わせられたシーンでした。もぉ、泣きますよ。一人で来ているのにね。 ……この後の休憩って、絶対確信犯ですよね。泣かせておいて、明るくなったら、周りにばれるじゃないですか。G2さんめ。 ●落ちる人の必然性 これ、多分一人だけ泣き所が違っていたんだろうなーと。思うのですがね。 かわいい子役ばかりしていたので成人してもかわいい演技しか出来なくなった役者くずれの室町(伊藤英明)が自殺未遂を繰り返すんですよ。で、何度も立ち直ろうとして、でもやっぱダメで。 病院の二階から飛び降りようとした時、助けられるんですよ。で、助けた人が逆に落ちて、重態になるというくだりがありまして。 で、これ、助けた人が、熱意溢れる消防士、滝田さん(ラーメンズ片桐)なんですよ。すごく良い人でね。なんか、正義感はあるけども、基本は優しいような人で。揉め事があると、それにぶつかるような正義感じゃなくて、いつもフォローに回るような、いい人なんですよ。で、その人が落ちて、看護婦の一言が。 「もう、現場に戻れない」 あぁ、あんなにも、もうそろそろ現場に復帰できることを喜んでいた人が、なんで、この役にならなければならないんだろうか。と。すごく悲しくなりまして。 でも、この助ける役……自分の身を落としてしまうまで、自殺を食い止める人って、滝田さんしかいないなぁ、と思うと、余計に悲しくて。 一番、この状態になって悲しい人だけども、一番、この人がこの状態にならざるを得ないっていうのが、すごい残酷で残酷で。 あぁ、優しさが残酷になる物語だなぁ、と痛感したのでした。 ●動く舞台装置 始まる前の待ちに予想したとおり。さすがG2舞台。 病院に舞台が移るとき、真ん中に置かれた部屋は、動いたのです。ウィーンって。で、後ろに病院の舞台が。 しかも、お客さん視点を考えて、部屋の端っこは折りたたみ可で。舞台の主役にあるときは、客席に向かって広がり気味にして。で、病院の舞台のときは、折りたたんで、建物の壁としての機能をしていて。 くぁ〜! 最初っからカマしてくれますね!! G2さん! そして、もうひとつ、予想していた通り、右上の背景として機能していた部屋の壁が、ウィーンって上に上がって。小さな病室としてのシーンが。 2重舞台ならぬ、3重舞台ですか!! うわぁ! うわぁ!! ニクいねG2さん!! G2マジックにメロメロでした。 ●マーガレット G2演出は、見るべきスポットが、明確なこと。見て欲しいというか、主眼となる部分が、絶対に定まっているんです。長塚さんだと、色々小細工仕掛けて、色々見所が散らばって並行しているんですが、G2さんは、カッチリ、ここ! というように、明確で、そしてそこに全身全霊注いでいるんです。 だから。 ……めちゃくちゃになった花畑が、いつの間に、マーガレットで埋め尽くされているのか、完全に分かりませんでした……。 ストーリーテラーとなる舞台(移動する部屋)を持ってきて、その裏で変えるのかなーとか予想していたんですがね。変わるまで、そんな動きが無くて。しかも、私がマーガレットが埋め尽くされているのに気づくまで、そんなに時間がかからなかったはずなんですよ。 未だに、いつ、どうやって変えたのか分からないです。これも、注目を集める部分を決めているというG2さんのマジックでしょうか。 <見終わった後> すごく、気分が良かったです。高揚していました。(頭が痛くなるほど泣きましたけども) 全員総立ちで、拍手。カーテンコールは2回。肩が痛くなるまで拍手をしました。 美ハゲ僧正こと山内さんが、パコちゃんと手をつないでいるのが、微笑ましい。お子さんいるから、稽古場で仲良かったのかなぁ、などと妄想。 後藤ひろひとさんのお話とG2さんの演出って、正統派なんですよ。お話として、雰囲気として。すごく、見ていて自然に引き込まされるし、透明感がある。広い幅に受け入れられるし、同時に広い幅に深いものを与える。 だから、見終わった後って、すごい爽快感なんですよ。すごく気分がいい。舞台の挿入歌を誰もいない道路を歩きながら口ずさんでしまうほどでした。(後日CD購入。そしてしばらく聞いては泣いてしまうという始末) 家に帰って夜11時。普段絶対口にしないお酒(ワインでしたが)を、一口。飲んで、うわ、やっぱ不味い、とか思いながらも、熱く焼けるような喉の感触すら、楽しめたというくらい。そんな上機嫌な気分になれました。 G2&後藤ひろひとタッグは、観劇初心者にうってつけかと。 |